指導のねらい
1)競り合った1on1でのレイアップシュートを決める
2)激しいディフェンスに対するパスの受け方

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1.コーディネーショントレーニング
 ・手のリアクション
 ・クイックパスドリル
 まず最初に、手を素早く動かすコーディネーショントレーニングと、パスの動作を素早くするためのパスドリルを行いました。

 後半、厳しいディフェンスに対するパスの受け方、そこからの1on1を練習しますが、
パスは受け方だけ練習してもミスが減りません。パスを出す方も、プレッシャーに対して正確に技術を発揮する必要があります。

 パスを出すときに、パスモーションに時間がかかると、一瞬のチャンスを逃してしまい、良いパスが通らなくなってしまうので、クイックパスの練習をまず最初にご紹介しました。

 クイックパスは、腕自体を素早く動かす能力が必要です。二人組で手をはたくリアクションドリルや、全員で輪になってやった「キャッチ」の合図で相手の指 をつかみ、自分の指は逃げるというリアクションドリルなど、遊びの要素で能力を高めておきましょう。

 3人組で、ディフェンスの手をかわすクイックパスドリルを行いました。ディフェンスの手を下に引きつけておき、裏側で3人目の人がボールを投げあげた瞬 間にディフェンスよりも早くパッシングウインドウへパスを通し、投げあげたボールにパスをぶつけます。パスのモーションが遅いとディフェンスの手がパス コースを防いでしまうので、腕を速く動かし、クイックパスのレベルを上げていきましょう!

2.レイアップコーディネーションドリル
 ・ランニングステップの歩幅変化
 ・ワンステップとショットハンドコントロール
 今回の テーマであるレイアップの土台の能力を確認するドリルです。レイアップシュートのレベルを上げるには、ステップに変化をつける能力が非常に重要です。ス テップに変化をつけられない選手は、ディフェンスの状況に対応できず、苦しい体勢のレイアップが増えます。ゴール近くでディフェンスをさばくために、ス テップの種類を身につけることが重要です。

 ステップの種類を使い分けるために、土台として必要な能力は、
「ステップの歩幅を自由に変える能力」と、「いつでもステップを踏み始められる能力」「どちらの足の踏み込みでも右でも左でもシュートが打てるという能力」です。

 まず最初に、ランニングステップの2歩を使って歩幅の変化をつける練習を行いました。

 1.ロング・ロング
 2.ロング・ショート
 3.ショート・ショート

の3種類を練習しましたが、
この3つのステップにほとんど見た目の違いがない選手は、歩幅に変化が少ないということです。この3種類で大きな変化がつけられるように練習しましょう。

 次に、ワンステップとショットハンドのコントロールをするコーディネーショントレーニングを行いました。まずは右ドリブルで、
 1.右ワンステップ・右手シュート
 2.右ワンステップ・左手シュート
 3.左ワンステップ・右手シュート
 4.左ワンステップ・左手シュート
次に左ドリブルから、
 5.左ワンステップ・左手シュート
 6.左ワンステップ・右手シュート
 7.右ワンステップ・左手シュート
 8.右ワンステップ・右手シュート

 これら8つのシュートが
すべて自分の思う通りのリズムでコントロールできたら、試合中にディフェンスに対してどんなタイミングでもステップを踏み始められますし、どんなタイミングでもレイアップの動作に持って行けます。全身のカップリング能力を高める良い練習ですので、出来なかった人は繰り返し練習しておきましょう!

3.レッグスルー10 前回紹介したレッグスルー10に再度チャレンジしてもらいました。
 レベル1:内側通し
 レベル2:外側通し
 レベル3:内側2回スキップ外側2回
 レベル4:内側3回スキップ前足回し
 レベル5:外側3回スキップ前足回し
 レベル6:利き腕片手
 レベル7:逆腕片手
 レベル8:利き腕片手3回スキップ前足回し
 レベル9:逆腕片手3回スキップ前足回し
 レベル10:両手逆さ外側通し

 こういう練習で、
出来ないことが悔しい選手、出来るようになるまで練習しないと気がすまないような選手が良い選手になっていくのです。

 
自分ができないことを悔しいと思える負けず嫌いさが、試合でもプレーにあらわれます。

 またチャンスがあればチャレンジしてもらおうと思っています。この練習で大事なことは、人よりも良い記録を出したかどうかではなく、自分の記録を更新できたかどうかです。今回の記録を更新できるよう練習を続けてください。

4.スパイラルチェックシューティング  スパイラルチェックの連続ジャンプシューティングを行いました。この練習で左右にボールが曲がってしまった人は、また基本の練習でフォームチェックを行う必要があります。

 今回は後半に実戦的なシュート練習があり、時間の都合上基本のチェック練習をメニューに入れることができなかったので、各自で意識して練習に取り組むようにしましょう。

 左右に曲がる原因は自分の身体が実行しているシュートフォームが原因です。自分で意識高くチェックすることが一番の修正方法です。

5.ランニングステップの変化
 ・ステップの方向変化
 ・ジノビリステップ
 エンドラインから飛び出してくるディフェンスに対して、ランニングステップで左右にステップを踏みわけ、レイアップにいく練習です。非常にシンプルですが、試合でも使う頻度が高い効果的なステップです。

 NBAのスター選手でアルゼンチン代表のジノビリ選手が得意なステップです。ジノビリ選手のように、一歩目と二歩目の加速に緩急をつけて、実戦練習も行 いました。最初に紹介したロングとショートのランニングステップで緩急の変化が大きければ大きいほど実戦でつかえるようになります。チャレンジしてみて下 さい!

6.ギャロップステップドリル  次に、ギャロップステップを練習しました。ランニングステップは、片足ずつの変化なので、歩幅を使って大きく移動したり変化がつけられる反面、接触などに弱くバランスを崩しやすいデメリットがあります。

 密集地帯で接触に強く、なおかつステップの方向を変えてシュートに行きたい場合には、ギャロップステップを使いましょう!

 分解ドリルからディフェンス2人の間を割っていく実戦練習まで行いました。ギャロップステップは空中で身体の向きを変えることが出来ます。二人目のディ フェンスからボールを守るように、空中で身体をひねるのですが、そうするとレイアップのシュート角度が変わります。
いつも練習するような角度でのレイアップと違うテクニック、違うスピンのかけ方が必要になります。

 こういった練習をしておくと、実戦で色々な身体の向き、色々な状態からレイアップを決めることができるのです。ぜひ、この練習はギャロップステップを身 につけるためだけではなく、難しい体勢からのレイアップを決める練習としても続けて取り組んでください。

7.ボールの展開からヘルプ付き1on1
 ・ナバーロステップ
 これまでのステップを実戦的に試すためのドリルです。5人組で、ディフェンスが二人、オフェンスが三人のドリルです。

<最初のポジション>
トップと両ウイングにオフェンスがはいり、ガードがボールを持ちます。
右ウイングの1on1からスタートなので、そのマークマンにディフェンス一人、逆サイドローポストにディフェンスをもう一人立たせます。

<ドリルの手順>
1.ガードから右ウイングへパス。ウイングはVカットなどパスを受けるための工夫する。

2.ウイングはドライブイン。今回はなるべくエルボー側へ抜き、紹介したナバーロステップの練習。ガード陣は、ドライブに合わせてドリフトを意識する。

3.シュート後、最初のウイングのディフェンスはリバウンド。それに合わせて、パッサーのガードは右側へアウトレットパスのレシーブ準備。

4.アウトレットパスをレシーブしたあと、逆サイドウイングがトップでボールを中継。中継する前にはフラッシュの動きでシュートをねらいながら飛び込んできて、そこからトップへポップアウトする。。

5.展開されてくるボールに合わせて、最初のウイングのオフェンスは逆サイドでパスを受ける準備をする。最初に逆サイドで待っていたディフェンスが今度はボールマンディフェンス。

6.パスが入ったら1on1。ガードは、ドライブに合わせてドリフトする。

 この練習では、
ナバーロステップを紹介しました。このステップは小さい選手が大きな選手をかわしてシュートを打つ時にとても効果的です。シュートの技術としてもかなり難しい調整が必要なので、シュートの実戦能力も高まります。

 このドリルで大事なことは、
次のプレーを予測して準備できるかどうか、タイミングよく動きだせるかどうかです。

 強いディフェンス相手に、良いポジションでパスを受け、チャンスを作るプレーをするには、ディフェンスを振り切るための準備とパスを受ける動きをはじめるタイミングが重要です。


8.アドバンスドリブル  ガードのドリブル練習を行いました。やや前かがみで、すぐにでもパスが出せるし、すぐにでも抜きにいける姿勢のドリブルをアドバンスドリブルと呼んでいます。

技術のポイント
・右手でドリブルしているときは、右足を前に出します。

・足とドリブルの地面につくタイミングを交互にします。

・ドリブルと逆の腕を、肘を90度に曲げて床と平行に前に出し、カバーの
  準備をしておきます。

・チョビーステップからディフェンスを抜きにいく場合は、逆の肩がディフ
  ェンスの腰を抜くように

・抜きに行くというフェイント(アタックステップ)をうまく使い、ディフェンスの一歩目の反応の逆をつくようにフロントチェンジの切り返しをねらいます

・チャンスがあればいつでもパスが出来るように、視野は広く保ちます

 このステップは、攻めの姿勢をキープしていつでもドライブインを始められること、チャンスを発見したらすぐにパスのモーションに入れることがねらいです。

この右ドリブルと右足のステップを交互に踏むようなステップを
チョビーステップと呼んでいます。

 このステップだと、
ボールが手のひらにあるときにリードフットを踏み込むことになるので、そのままチェンジオブペースをしかけたり、そこからクロスオーバーに入ったり、変化をつけることが可能になります。

 まずは「フット・ボール」のリズムでドリブルが行えるように練習してください。ドリブルしていないほうの腕を前に出しておき、ディフェンスがスティールを狙って来たときにはすばやくガードできるようにしましょう。そして、
肩がディフェンスの腰を抜くようなドライブインができるように姿勢の準備をしておきましょう。


9.ピートドリル
 ・縦足からバックターン
 ・縦足からフロントターン
 ・縦足からハーフターン→クロスオーバー
 ・縦足からバックターンフェイク→3ポイント
 ディフェンスが激しくプレッシャーをかけてきたときのウイングでのパスの受け方、そこからの攻めのステップを練習しました。

 ディフェンスのプレッシャーが激しい時は、ゴールに正対することが難しいので、ゴールに対して足と足を結んだ線の向きを一直線にするような
「縦足」というもらい方を使いましょう。ボールをディフェンスから遠ざけ、縦足からの次のステップを攻撃の一歩目に使います。

 ディフェンスの位置に応じて、バックターンやフロントターンを使い分けられるようになればGOODです。ボールの位置がポイントで、ディフェンスの前を ボールが通過する時には鋭くボールを振るようにして、ディフェンスにボールを取られないように注意しましょう。

 ドライブがはじまってしまえば、前回紹介したパワーレイアップや今回紹介したステップワークを駆使してシュートを決めに行きましょう!

 このドリルでは、ウイングにパスを入れる選手はアドバンスドリブルからのクイックパスを練習してもらいました。クイックパスは最初に紹介しましたね。 チョビ―ステップを踏んでいればチャンスと思った瞬間に素早くパスが出せます。これからの練習でも是非意識してチャレンジしてみて下さい。

10.3on4ボールの展開1on1実戦ドリル  最後に、本日の総合ドリルです。Fのボールの展開1on1ドリルにアウトサイドのディフェンスを増やし、3on4を行いました。

 パスの受け方をいくつか紹介しました。ボールの展開に合わせてディフェンスを台形内へロックする方法と、
ミートアウト・ボールミート・フレア・プッシュの4方向の動きの組み合わせです。

 ウイングのドライブインが始まったら、周りの選手はドライブに合わせて合わせの動きです。ディフェンスが一人多く、ヘルプが常にいます。ですがどこかにノーマークが出来るわけではないので、
なるべく自分で二人目のディフェンスもかわしてシュートを打てるように工夫します。その2人目をさばく余裕があれば、実戦ではさらに良い合わせやノーマークのチャンスを見つけることが出来るようになります。

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 今回は、試合のDVDを見て課題だと感じたレイアップの練習と、関東大会の上位チームを想定して激しいディフェンスを受けた時のパスの受け方、1on1の仕掛け方を練習しました。

 皆さんは、台形近辺のノーマークのシュートが非常に安定しているので、そこでのチャンスを増やすことが最も効果的な攻撃だと思います。サイズが大きい チームではないので、あまりゴールに近づきすぎると相手の大きな選手のチェックを受けることになるからです。しかし、試合ではドライブをしてレイアップに いくチャンスももちろんあります。
試合中のレイアップはいつもきれ いな形で、良いバランスで打てるとは限りません。むしろ、ディフェンスをかわしてくるので、難しいバランスになったり、難しい角度からのレイアップになる ことがあります。そういったレイアップも練習しておくことで、さらに得点力を高めることができるのです。

 台形近辺のシュート、レイアップ、そしてこれからロングシュートの精度を高めて、どこからでも点が取れるチームを目指していきましょう!また次回も楽しみにしています!